いや、ほんのちょっとだけ。

アクセスカウンタ

zoom RSS 『人生最後のご馳走』発行のお知らせ。

<<   作成日時 : 2015/09/09 10:41   >>

トラックバック 0 / コメント 0

 大阪の東淀川区にある「淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院」を取材したものが一冊にまとまりました。

これは、ホスピスの本なのだけれども、闘病記でもないし、末期がんへの医療的アプローチでもありません。サブタイトルに「淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院のリクエスト食」とあるように、このホスピスで取り組んでいる「リクエスト食」を中心としたルポです。

 「リクエスト食」とは、週に1度、患者さんが食べたい献立を何でも病院側が用意するというこのホスピスだけの取組です。海鮮丼だって、おしるこだって、すき焼きだって、患者さんがその時に食べたい料理をなんでもリクエストしてもらい、それに対して可能な限り希望に添うような食事を出しています。

 このホスピスの患者さんは基本的にいわゆる余命宣告を受けた方ばかりで、平均在院期間は3カ月という厳しい状況です。心身ともに負担の大きい状況にある患者さんたちが「食べたい」と思うのだろうか。どんなものを食べたいと思うのだろう。また、どんな思いでその献立を選ぶのだろう。

 そんな疑問から14名の患者さんに話をお聞きしたインタビュー集のようなものです。

 そもそも「リクエスト食」がなぜ生まれたのか。その取組を支える病院の栄養管理士、調理師、看護師、医師にもお話をお聞きしました。

 実は、取材が始まるまで、ホスピスについてほとんど知識を持っていませんでした。近い関係にホスピスを利用する人がいなかったこともあります。そんなふうに自分に関係がなければ、ホスピスは生活とは遠い場所にあります。

 今回お聞きした患者さんの食にまつわる話は、いずれも個人的な内容なので、読まれた方の誰もがどの話にも共感するというものではないでしょう。食を語ることは人生を辿ることともなり、ちょっとした個人史語りにもなっています。

 となると、ますます「わたしには関係ない話だ」と思われる方も少なくないかもしれません。

 でも、いろんな方の口から出る物語に耳を傾けているうちに、わたしは人が生きるなかにある多くの普遍的なテーマがそこに溢れていることを知るようになりました。

 食べるものが人生にどういう意味を持つのか。また、食事の場が人間関係に大きな影響を与えること。例えば、ホスピスでの食事の場として、「リクエスト食」もまた、家族と患者さんとをつなぐきっかけになっている風景を何度も目にすることになりました。

 読むとわかるように、悲壮感はありません。患者さんは皆さんあっけらかんとされていて、この人たちが本当に命の限りを告げられたのかと驚くほど、取材は笑い声の絶えない時間でした。なので「泣ける本」ではありません。

 とはいえ、それを含めてどんなふうに読まれるかは読者が決めることなのですが。わたし自身は希望に満ちた一冊だと感じています。なぜかは読んで感じていただけると思います(って長々書いてもこれ!と言えないのがもどかしい)。

 もちろん、「緩和ケアにおける食」については、基本的な大きなテーマとして読むことができます。ホスピスに対しての基礎知識を得ることもできるはずです。

 160ページほどの読みやすい本です。装幀は「鈴木成一デザイン室」が担当くださって、シンプルだけれど、大切な何かが包まれた贈りもののような雰囲気に仕上げていただきました。

 この本には患者さん、そのご家族、病院スタッフなど多くの人のメッセージが込められています。それは読まれる方への贈りものなのだと思いながら書いたので、この本そのものが贈りものようなデザインになったことはとても嬉しいです。

 ホスピスに強い興味があるわけでもなく、内容にさほど目的を持っていたわけじゃないとしても、読んだあとに、「自分はこういうことを聞きたかったんだ」と結果として思ってもらえることがあるような本になるといいなと感じています。

 書き手としては、いささか乱暴ですが…。
 どうぞよろしくお願いいたします。

 青山ゆみこ

2015年9月17日発売です。
『人生最後のご馳走 ー淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院のリクエスト食ー』(幻冬舎)
装幀/鈴木成一デザイン室

http://www.amazon.co.jp/dp/4344028260

画像


テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『人生最後のご馳走』発行のお知らせ。 いや、ほんのちょっとだけ。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる