『ダブルベッド』藤田敏八監督(日活ロマンポルノ1983年公開)。

イブのまま放置プレイもなんなので、過去の雑誌掲載記事を再録。


ソフトバンク系のBBTVマガジンで連載してた「ロマン喫茶」という、日活ロマンポルノ作品を取り上げる映画レビューです。と言いながら、映画そのものとうよりは、ロマンポルノを通して「昭和」をとらえるというテーマがお題だった。(今は「体質」をテーマの連載をしています。それはまた)


ちなみにこの日活ロマンポルノレビューは、鷲田清一先生にも何号か読んでいただたことがあり、面白かったとお手紙いただいたのは、何気ない、うそ、はっきり言って自慢です(許して)。


ちょうど、お休みに入ることだし、みんなもどんどん観てください。日活ロマンポルノは奥が深くて素敵です。TSUTAYAなら、暖簾の奥に入らなくても、邦画コーナーで取り扱ってますし。


順番に放出していきますが、まずは入りやすい『ダブルベッド』あたりから。主演は大谷直子、石田えり、柄本明、岸部一徳、高橋ひとみ…って、ポルノじゃない感じでしょ? てかポルノって何?というあたりから、書かせていただきました。


『ダブルベッド』日活ロマンポルノ1983年公開)
監督:藤田敏八
原作:中山千夏
音楽:宇崎竜童(←ここらへんもスゲー)

画像


【消費されない性があって、物語がはじまる】


 この1年ほどの間、特に集中してにっかつロマンポルノの復刻版などを観ているのだが、一番最近に観た『ダブルベッド』で少し考えてしまった。ポルノとそうでない作品の、感覚的な境界線はいったいどこにあるのだろう。ということを昭和後期のにっかつロマンポルノの制作現場の監督はじめ演者たちは問い続けてきたのだろうし、だから観ている側にそういうことを思わせるのかもしれない。


 中山千夏の同名の小説を映画化した『ダブルベッド』は、昭和50年代のどこにでもいるような夫婦を主軸に展開される。ストーリーそのものは、平成の今なら昼下がりに主婦がお茶を飲みながら観るメロドラマの方がよっぽど過激で、あちらなら殺人があったりもうとんでもないことになるけれど、こっちは浮気したりされたり結婚というものを考えたり考えなかったりする普遍のテーマを主題に淡々と物語はすすむ。演じるのが柄本明・岸部一徳・大谷直子・石田えり・高橋ひとみといったおなじみの顔ぶれというのも、なんだか社会派ドラマめいている。


 しかしながら、ときおり挟まれるにっかつロマンポルノならではの男女の濃密なシーンが、強度というよりは深度として男女をとらえ、そして作品に奥行きを持たせていることに気づく。もちろん、映像や構成もどこまでも丁寧に作り込まれている前提がある訳だけど、やっぱり、と私は思う。にっかつロマンポルノは、裸があるから成立するのではなく、裸がないと成立しない物語を描いているのだと。それはいたって当たり前の男女を描く場合こそなおさらで、つまりは普遍のコミュニケーションの形なのだ。ていうか、そんな指摘こそ当たり前すぎる話だが。


 平成の現代社会では、性の商品化が問題になっている。それは性が欲望の消費対象になることが多いからだ。しかし、にっかつロマンポルノのほとんどの作品で性は消費されるものではない。消費するには誰もがあまりに不器用で、その不器用さで物語が深く掘り下がらずにはいられない。性とはうまく消費できないものだ、ということを伝えるために裸が登場するようにも思える。


 今そうしたテーマの作品はあまりみない。しかし、ある意味本能的に生きている女子高生たちは性の不器用さを知っていて、だからこそ物語性の高いケータイ小説に激しく反応するのではないだろうか。性的に過激なのではなく、物語性が高い小説に。彼女たちは物語においてでしか男女が歩み寄れないことを、無意識に知っている。そういう気がしてならない。(青山ゆみこ)

BBTVマガジン『Peper view』(2008年5月号掲載)





この記事へのコメント

mint2
2009年12月29日 10:12
なんだか気ぜわしい時期に、ぐっとくるお話で
ほっとコーヒーブレイクいただいております。
(あおやまさんの日活ロマンポルノ考察は
すっごく好きです)

ツタヤの暖簾をくぐったことはありませんが
邦画のところにしれーっと行って手にとって
みたいです。できれば分厚いブラウン管の
ざらついた画面でこっそりみたい。
今の若い子達は「隠微」というニュアンスも
知らないくせに、性をパブリックビューイングで
眺めながら、触れようともしないような気が
します。
それにしても、素晴しいキャスティングですよね。
あおやま
2009年12月31日 12:48
mint2さん、すごくいい雰囲気の作品ですので、機会があればぜひ(どんな機会・笑)。
TSUTAYAの暖簾をくぐったことがある女子っているのか、すごく興味深いですよねー。憧れます(笑)。
やっぱり観れない作品もまだまだあるんですが(ハードすぎて)、それでもロマンポルノはアダルトとは違い、ポルノがポルノとして、成り得てる気がするのですが、やはり監督・俳優陣の秀逸さにつきるんだろうなあ、といろいろ観て思いました。

あ、良いお年をお迎えくださいませ。
zebra
2013年10月11日 00:30
以前 DVDで見ました。
ま~大谷直子さんキレイですね

柄本明との濃厚セックスは 本当に気持ちよさそうで表情がイキイキしてました

あっ・・・ちょっと待てよ・・・
大谷直子さん 実生活でも たしかお子さんがいらっしゃったと思うのですが・・・
この作品の役柄のは子持ちの主婦でしたが、
う~ん 悪いお母さんですね~
お子さんには見られたのかな・・・ でも大谷さん 男性との恋愛はあるみたいですので 男性との熱い肉体勝負(何のコトかわかりますよね)でも真剣勝負でいどんでそうですから そこが演技の秘訣もしくは美貌の秘訣になってるかもしれませんよ
あおやま
2014年02月14日 13:45
zebraさん、コメントありがとうございました。というか超遅レスで失礼しました~。

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