仕事初めは金子光晴さんの『ラブレター』。

今日から仕事初めの方も多いと思う。


あたしは昨日からさりげなく初めてます。


というのも、
1発目は連載仕事の『BBTV』というケーブルテレビマガジンの
日活ロマンポルノ『ラブレター』のレビューにしてみたので
傍目には単に映画鑑賞って感じなのだ。


この『ラブレター』は関根恵子時代の高橋恵子はじめ、
加賀まりこに中村嘉葎雄に仲谷昇…という豪華キャストも
わぁおなんだけど、そもそもこの物語には原作があって
それは「金子光晴のラブレター」ってのがわぁお。


あたしにとって、金子光晴は
猿股を回し合う貧乏の詩人であり、
息子を戦争に行かせなかったお父ちゃんであり、
沢木さんより藤原さんよりハヤい深夜特急な人間。


で、「詩」にうといあたしでもびびびとくる
かっちょええ言葉の暴れん坊将軍である。



なんつーか、「詩人」って、
喧嘩弱そうなのに威張ってる気がして
あんまし興味持てなかったあたしにも
カッケーと思わせてくれた人でもある。


富岡多恵子さんと金子光晴さんは、
あたしの双璧なのだった。


という金子光晴さんには、30歳も年下のラ・マンがいて、
その大川内令子さんに江森陽弘さんが取材した
ノンフィクション『金子光晴のラブレター』がこの映画の原作。


とかいう話を書く。
リアルタイムの日活な人たちは
そんなこと当然に知ってるはずだろうけど、
『BBTV』の若手読者はあんましぴんとこないかもだし。
ていうか、書いた内容もぴんとくるか微妙だけど、
一人でも興味を持ってもらえたら嬉しいなあと。


日活ロマンポルノを観るようになって
あたしはいつも昭和をそこに強く感じている。



『ラブレター』の舞台となるラ・マン宅は
どうやら原宿か渋谷の住宅街なんだけど、
神戸の山手みたいに小さな細い坂道ばかりで
ホコ天の喧噪が嘘のような風情。


前回に観た『女猫』は「愛と誠」の早乙女愛主演で
岩城滉一がかっちょいい作品だったけど、
それは「あぶない刑事」よりもっと事件が似合う
港町のヨコハマな感じだった。


レトロでキッチュな雑貨店にある昭和ではなくて
もっと汗や人間の匂いがする昭和。
キーボードとかケータイに頼ってなくて
みんなが体当たりしているのも何だかじーんとくる。


TSUTAYAでも暖簾奥じゃない普通のコーナーにあるので
皆さんもぜひ。


ていうか、
『氷の微笑』とかの方がもっとエロいし(笑)。
日活ロマンポルノはアート色が強いものが多くて
全然「ポルノ」じゃないやんといつも思う。
いや、ハードなやつはもう大変な有様だけど。


それにしても、
あたしは引き続きトレンディじゃないことを
自分のトレンドにしたがっていて、
そういうトレンド志向は雑誌屋さんの持病なんだろうか。
ただ、もうそういうのはちっとも通用しなくなるし
現に通用していないから雑誌は次々と休刊している。


たぶん、あたしもますます雑誌からは離れるだろうけど、
それはイコール活字から離れるという訳でもないだろう。
それがどういうことなのか、年末年始でもだいぶと考えた。
まだよくわからない。
でも、活字は消えないということだけは、わかる。
そこで生きていきたい人は死に物狂いになるだろうし
活字周辺に単にいたかっただけの人は消えざるを得ないだろう。


というよりも、
活字が主役なのではなくて手段だと考えれば
まあ、特にややこしくも切なくもない。


それでも十分に、面白さも意味もある。
いや、橋本治さんはとうの昔にそのことを指摘していた


てなわけで、
仕事初めはむにゃむちゃとそんな感じなんだけど、
今日は産経新聞連載の件で、取材初めです。
行ってきまする。


この記事へのコメント

mint2
2009年01月06日 02:08
あぁ、金子光晴と日活ロマンポルノという
ズキュンとくるキーワードを出してくるなんて!
ずるいぞ!!>あおやまさん(笑)

金子光晴の詩集”一対”の「愛情とはからだと
からだをよせて,さむさをあたためあうこと
なのだ。」は吉本隆明の評論から学び、
日活ロマンポルノは神代監督の名作「赫い髪の
女」を観るべきだよ!と刹那主義的な同級生の
男子に勧められ・・・だけど結局堂山町の劇場
には勇気がなくて観にいけない。
なんていうえせ文学少女な私のええかっこしぃ
衝動を思い出しました。

イスラエルのガザ地区への攻撃について
「ティーンエージャーの男のコが3歳の妹を
ぼこぼこにして、あいつが先に手を出した、
といっているような状況である。」と
書いた好きなジャーナリストの活字の力に
悲惨なイマジネーションを奮い起こせない
日本人の現状があるとしたら、末期的な
問題だと思いました。
「活字」に徹底的にしつこくこだわる
あおやまさんを応援します!
あおやま
2009年01月08日 10:13
mint2さん、返信遅くなりました!でも、すぐに拝見していたので、「さすがっ」と唸っておりましたこと、ご報告いたします。

金子光晴を吉本隆明で知り、神代監督を堂山で見損なう(笑)文学少女時代…おぉおであります。神代監督は「恋人たちは濡れた」がすごく面白くて、まさにぬぅべるばあぐの気配を感じましたが、よく考えると私は本家ぬぅべるが性に合わずというか「えええ、わけわからんっ」と良さを理解できない。たぶん、細胞のひとつまで「ベタ」な人間なのだと思います。ロマンポルノはそこらへんがやっぱり日本人的に解釈されていて、だから面白いのかもしれません。なんてわかった風に言うなって感じなんですが(汗)。

あおやまの追伸。mint2さんへ
2009年01月08日 10:13
私が「活字」から離れられないのは、もう離れようかなっていうか、あんまり深くも考えてないのに、周りに「活字」な人が多いから、やっぱりなんかあるよな、きっと、と思うからです。内田先生しかり、相方しかり、mint2さんやayaさんしかり。マダム松澤さんもそうだけど、そうであるとことそうでないとこと、境界を作らず活字を楽しんでますよね。そういうのが、鍵にもなるだろうし、いろいろと思うことがあります。今年はそんなこと考えたいなー。なんていま考えた訳ですが(笑)。とにかく、ブログ楽しみにしておりますー!!

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